第1幕 読者の関心を掴む
第1幕で大事なのは、まず、作品がどの様なジャンルかをわかってもらう事です。
それにより、その作品をどのように見るべきかを分かってもらいます。
これが出来ないと、読者が落ち着いて、物語に集中出来ないのです。
そして、主人公を紹介し、興味を持って貰い、
次に問題を発生させ、その問題を、どう解決するのかと、期待を持ってもらいます。
つまり、第1幕で大切なのは、掴みです。
オープニングの掴みとは?
オープニングで、読者の心を掴まなければならない理由は明確で
「最初はつまらないけど、読み進めたら面白いから、じっくり読んでね」
なんて言ってたら、すぐに捨てられます。
読者はみんな忙しいし、他にもたくさん娯楽が溢れているので、つまらない時間を過ごしている暇など無いのです。
オープニングで、読者の心を掴みましょう
何かしらの問題に取り組んでる主人公
ここでいう問題とは、物語自体の鍵になる物でもいいし、物語の問題に一部関係する事でもいいです。
自分で問題を発生させる場合もあります。
どちらにせよ、主人公が問題を解決する為に、自分の個性を発揮している事がのぞましいです。
そして、失敗するか、成功するかによって、主人公の属性が変わります。
バックストーリー、序章
主人公の過去や、物語の過去に起きた出来事を、オープニングに持ってくる事もよくある手法です。
トラウマや、解決出来なかった問題、感情に深く根付いた出来事をオープニングに持ってくる事によって、主人公を形作っている物や、この過去が、どう物語に反映されるのだろうという興味を読者に与える事ができます。
視覚的に派手な出来事を起こす
見るだけ、想像するだけで、驚くような大事件を起こします。普通じゃありえない事件を、オープニングに持ってくる事によって、読者の心を一気に掴むのです。
もちろんその事件が、物語の一部か、中心として機能しているのが望ましいです。
読者に語りかける
たまに見かける手法ですが、キャラクターが冒頭や、物語の合間に、読者に話しかける手法です。
読者に話しかける事によって、ある種の絆が生まれます。
この話し方によって、読者の「キャラクターをどう見るべきか」をある程度、操る事が出来ます。
殺人事件の話であれば、親しく読者に話しかけていた主人公が、主犯だったりすると、読者は驚きます。
謎を与える
読者が「今何が起こってるんだ」「あれは誰?」「ここはどこだ?」と思わせるようなオープニングです。
読者の心に「知りたい!」という感情を植え付けて、物語に引き込みます。
独創的な世界観の紹介
読者が見た事も、経験した事もない世界を表現する事で
「その世界の事を知りたい」と思わせるテクニックです。
その世界で生きている人間たちは、どの様な暮らしをしているのか? どの様に生きる術を手に入れているのか?
その答えを、知りたいと思わせる世界観を、作る事が大事です。
説明
これから始まる物語を読むにあたって、知っておかなければならない情報を提示する方法です。
しかし、これは面白く、物語に必要な情報でなくてはなりません。
物語を楽しむ上で、関係ない情報だったり、つまらない文章を垂れ流しにするだけでは、その時点で読む気が無くなります。
物語自体が、過去の話
「これから、昔の話をします」と言うキャラクターの語りで始まる物語です。
最初と最後だけが現在で、あとは主人公の過去の話と言う構成です。
大事なのは、最初に「何故いま、主人公がこの様になってしまったか?」に興味を持てる語りにする事です。
むしろ、その為にこの方法がある、と言ってもいいでしょう。
主人公の紹介
物語を始める時に、読者が、誰についていけばいいのかを早めに判断させる事が重要です。
感情移入するべきキャラクターが決まっていないと、読者の感情は素直に動いてくれないし、物語の何に期待していいか、わからないからです。
これには、主人公4つの要素と、一瞬で読者の心を掴むキャラクターリストを読んで、しっかり推敲して下さい。
物語を始めるきっかけを作る
物語の始まりとは、主人公の日常を壊す事です。
主人公の日常が、壊れるきっかけがなければ、物語は始まりません。
出会い、偶然、発見、運命、事故、きっかけは何でもいいです。
放置しても、問題がない様なきっかけでは意味がありません。
主人公がなんらかの対処をしないと、一生日常に戻れない様な、特別な感情を起こす、大きな出来事でなくてはなりません。
物語の目的を決める
物語の中心となる問題が、どうやったら解決できるのか?
その問いかけを、第1幕でしておきましょう。
ここで問いの答えを出す事はせずに「どうやって解決するんだろう?」と読者に思ってもらうことが大事です。
この問いの答えを見つけ、実行する事が物語の目的となります。
目的をはっきりさせる事で、読者は応援するべき事が明確になり、感情移入ができる様になるのです。
後戻りできない状況を作る
第1幕の最後には、主人公が後戻りのできない決断をします。
面倒に首を突っ込んで、人生丸ごと変えてしまうか? 後戻りして、負けたまま過ごすか。
勿論、首を突っ込まなければ、物語は始まりませんので、首を突っ込みます。
主人公が、問題を解決する為に四苦八苦するのが第二幕です。
主人公が勝つか負けるか、読者に心配してもらい、その上で主人公が成長していく姿を描けたら、
より読者の期待感を高まらせます。
第二幕において大事なのは、読者の心を揺れ動かす事です。
足止め、対立
障害物や迷い、混乱などで、主人公が足止めされます。
目的に向かうときに、何が正しいか迷ったり、邪魔するものが現れたり、環境自体が敵になったりします。
転換点をつくる
人間の集中力は儚いため、物語の中間あたりで、ターニングポイントを作る必要があります。
物語がより複雑になったり、捻りが加わったり、逆転があったり、最大の敵や、その部下が現れたりします。
単純に言えば、主人公が気合を入れなおすところです。
セントラルクライシス
第二幕の最後に、主人公は苦しい決断を迫られます。
あるいは、決断をする事も出来ずに、全てを奪われるかもしれません。
その経験により、主人公は自分に足りないものや、自分の弱さを知ります。
読者は、そんな主人公を見て、どうやって敵と戦い、勝つのだろう?とドキドキするのです。
物語の中で、最高に盛り上がり、主人公は全ての問題を解決します。
第一幕と第二幕で、発生した問題や伏線、主人公の成長などを全て取り入れ、未解決な問題が残されぬように気をつけます。
主人公の立ち直りと進化(最後の戦いの準備)
第二幕で、負けたり、苦しい決断をした事によって、落ち込んだり、劣勢に立たされた主人公を立ち直らせます。
そして、その主人公は進化して、これまでよりも強くなります。
最後の戦いへの準備完了です。
気をつけなくてはいけないのが、主人公が立ち直ったり、進化する理由は、物語の理にかなった方法でなくてはならないという事です。
重症だった主人公が、偶然、運良く、助かるなんて事があってはいけません。
いきなり出てきた、名前も知らないキャラクターが、訳の分からない魔法を使って、主人公を助けたら、読者はポカンとします。
何かしらの伏線を立てておかなくてはなりません。
最後の戦い
第一幕で提示された問題に、決着がつく場面です。
第二幕で、解決法が分かったり、ヒントが出てきたものを、ここで実行します。
ここで問題を解決しないと、物語は終わりません。
第一幕が問いなら、第三幕は解答です。
第一幕の問いに答えず、まったく別の問題を解決している物語もありますが、それだと読者は「あの問題はどうなった?」と
スッキリしない読後感を抱えてしまいます。
印象的なエンディング
読後感の印象を決める最後のチャンスです。
全ての問題は解決して、伏線も全て回収します。
ここで大事なのは、物語の最初と最後で、何かが変化していると言う事です。
主人公が成長していたり、世界が平和になったり、失われそうだったものが、助かったりします。
ハッピーエンド
説明は不要ですね。
主人公が勝ち、悪役は負ける。
全てが前向きになる終わりかたです。
バットエンド
主人公が負け、敵が勝つ終わり方です。
物語として、理にかなっているなら、十分読者を満足させられます。
バット、ハッピー、両方の要素がある
主人公は一応勝利するのですが、負けている部分もあるエンディングです。
逆に、負けていても、どこかで勝っている場合もあります。
自分を犠牲にして、勝利を収めたり、
他人を救ったのに、主人公が悪役にされたり、
勝利を勝ち取っているのに、未来に不安を残す終わり方をするストーリーに、これが当てはまります。
意外な結末
上手くやれば、最高に満足できるエンディングですが、外すと「だから何?」と最悪になるエンディングでもあります。
今まで「こういうストーリーだろう」と思っていたものが、最後の最後でひっくり返される終わり方です。
映画の「シックス・センス」は有名ですね。
個人的に「12モンキーズ」は、バッドエンドに近いですが、おススメです。音楽も印象的です。
結末を読者に預ける
個人的にはあまり好きではありませんが、
「事件はまだ終わってない」という感覚を読者に与えて終了する手法です。
これをやるには、敵役や事件が、印象的でなくてはいけません。
「事件がまだ終わってない」「敵がまだ死んでない」
そう思った時に、読者が次に起こる惨劇や、事件を想像出来ないといけないからです。
まったく印象のなかった敵が、実は生きていた!
そうなった時を想像して下さい。
「そんな奴いたっけ?」か「またすぐに消えるだろう」です。