キャラ作りには人間観察。どんな教材でもよく言われることです。
これは真実です。
ですが、人間観察なんてどうやったらいいか分からないし、
それを作品に活かす方法も曖昧な教材が多いです。
ここでは「人間観察の仕方」と「人間観察をキャラクターに活かす方法」
を書いていきます。
なぜ人間観察が大切なのか?
人間は、他人がいるからこそ、自分というものが認識できます。
他人がいなければ、自分がどう人と違うのか、何が得意なのか、
自分の考え方は普通なのか、そうではないのかすらわかりません。
キャラクターも同じで、色々なキャラクターがいるからこそ、
キャラクターの個性を出せるのです。
自分の世界だけで物語を作っていると、どうしても広がりがなく、
キャラクターも、ワンパターンになりがちです。考え方も偏ります。
特に悪役は、ただ嫌なやつなだけの、薄っぺらいキャラになるでしょう。
人間観察は、あなたの「人間の概念」を広げ、
より多くのキャラクターパターンを作り上げる手助けになります。
どうやって人間観察をする?
人間観察には、コツがあります。重要なのは、
一人だけ見るのではなく「人間関係を見る」ということです。
バイト仲間でもいいし、友人でもいいです。
まずは自分をふくめた、彼らの人間関係を眺めてみましょう。
まずは、一人に注目してみてください。
彼のこだわりや、好きなもの、許せないこと、癖、体質、習慣、
他人に対する価値観。それらを観察します。
この段階でも、キャラクターは作れそうですね。
しかし、これで終わりではありません。
最初に注目した一人の行動が、自分を含めた友人や、仕事仲間、
家族、他人にどのような影響を与えているかを観察しましょう。
(例)
Aさんは、いつも昼休みにお菓子を持ってきて、みんなに配る。
「ダイエット中」と言って断る人もいれば、ありがたくもらう人もいる。
もらう人は、お返しに、弁当のおかずを差し出す人もいれば、
後日、お土産を買って、返す人もいる。
Aさんはおしゃべりで、誰にでも遠慮なく意見をいう。
愚痴もあるし、まえむきな言葉もある。
その意見に賛同している人は、自分がいう手間が省ける。
しかし、反対の人は、Aさんの勢いに負け、何もいうことができない。
もちろんこれで終わりではありません。
最初の一人の行動で影響を受けた、周りの人々も観察します。
(例)
Aさんにお菓子をもらった人は、旅行に行く時に、Aさんへのお土産を考える。
「お返しをしなければ」と思ってしまうのだ。
ダイエットをしていると言った人は、Aさんが美味しそうにお菓子を食べているのを見ると、
自分も食べたくなります。
なので、Aさんを見ないようにして「私の目の前で食べないでよぉ」と言う。
しかし、Aさんは「美味しいヨォ」とその人を挑発する(中のいい二人の話)。
Aさんの意見に、タジタジの上司。しかし、Aさんは古株だし優秀なので、邪険に扱えない。
Aさんの意見に反対の人も、少し上司に同情し、
裏では「気にしなくていいよ」的な慰めをしている。
例は、かなり現実に忠実に書いたものです。
多分こうであろうという想像も入っていますが、想像することも大事なのです。
この作業をすることによって、キャラのリアリティ。人間関係のリアリティ。
そしてキャラクターの行動の動機のリアリティを知ることができます。
人間観察をキャラクター作りに活かす方法
人間観察ができたら、今度はそれを作品の一部に入れてみましょう。
Aさんがお菓子を配っていて、ダイエットしている人は断った。
もらった人は、後日お土産を買ってきた。
などを、作品の一部に入れるのです。短編を一つ作ってしまうのも効果的です。
この場合、Aさんは主人公でなくてもいいですし、お土産を買った人が主人公でもいいです。
どちらも脇役でもいいです。
重要なのは、キャラクターが、リアリティのある行動をとるということです。
「物語上、そんなシーンは入れられないよう」と言う人も、
人間観察を十分にして経験を積めば、
自然とリアリティのある行動を描けるようになります。
ファンタジーな世界観でも、上司と部下の関係は応用できますし、
学校のいじめや、成績の優劣は、
主人公のコンプレックス作りにうってつけです。
周りに観察の対象がいないと言う方は、ドキュメンタリーを観たり、
リアリティのある映画を観たりして、人間観察をし、
その行動が周りにどう影響を与えているかを観察しましょう。
人間観察は、人間一人を見るものではありません。
人間関係を観察し、誰かの行動によって、誰かに影響が出る。
それを観察することなのです。