魅力的なキャラクターには、必ず「欠点、コンプレックス、弱点」があると
「魅力的なキャラクターの作り方」では紹介しました。
しかし「どうしても、完全無欠のキャラクターを登場させたい」
というもいるでしょう。
ですの、今回はキャラクター達の関係性の作り方を紹介し、
その延長で、完全無欠のキャラクターのつくりかたも紹介したいと思います。
人によっては、無意識にやっていることだったりします。
キャラクターの個性は人間関係で作られる。
どんなに個性的なキャラでも、周りに全然人がいなかったら、
その個性を生かすことができません。
「超強いキャラクター」がいても、周りに比較できる人がいなければ、
その強さを証明できないのです。
無人島で「俺は金持ちだ」と叫んでも、証明できません。
つまり、キャラクターの個性は、
「その個性を持っていないキャラクターがいるからこそ、活かされる」
のです。
「読書が好きな個性」は「周りに読書をしている人が少ない」から活かされます。
「魔法が使える個性」は「周りに魔法を使える人が少ない」から活かされます。
「乱暴者という個性」は「周りの人間が、平和的」だから活かされます。
つまり、完全無欠のキャラクターを登場させたかったら、
「周りに完全無欠ではない、むしろ、欠点だらけのキャラクター」
を配置するべきなのです。
「そんなことわかってるよ」
という声が聞こえてきそうなので、次に行きたいと思います。
キャラクター同士の人間関係を、上手くストーリーに活かす方法。
仲のいい三人組、息のあった相棒、喧嘩ばかりのチーム、
一つの目的に向かうパーティー。
上手く作れないと、ストーリーが間延びしたり、話が明後日の方向に進んだり、
全く意味のないエピソードが入ったりしてしまいます。
これを上手に作る方法として、
「ひとりの人間の個性を、複数のキャラクターに分割する」
という方法があります。
(例)
魔王を倒さなければ、世界は滅ぶ。だから、主人公が魔王を倒そうとしている。
という物語だったとします。
ここで主人公の葛藤を想像してください。
・絶対に俺が魔王を倒す。
・人々を助けたら、お礼を言われた。嬉しい。
・魔王とか関係なく、平和にくらしたい。
・ヒノキの棒と50円しかもらってない、せめて銅の剣くれよ。
・さらわれたお姫様を助けたら、結婚したい
・魔物と戦ったら、怪我をした。痛すぎる。
この主人公の心の中の葛藤を、複数のキャラクターの会話で表現するのです。
(例)
主人公「絶対に俺が魔王を倒してやる」
仲間A「おいおい、ヒノキの棒と50円しか支援されてないんだよ? 絶対期待されてないって!」
主人公「期待されているかされていないかの問題じゃない。
魔物から救った村の人たちの笑顔、見ただろ? 俺はあれだけでも、命をかける価値はあると思うね」
仲間B「僕あの時、腕折ったんだよ? 痛すぎる。もう嫌なんだけど!」
仲間C「魔王を倒したら、姫と結婚できるかしら?」
主人公「姫が同性愛者ならな」
この主人公が完全無欠だったとしても、ほかのキャラクターが
主人公の欠点を代わりに表現してくれます。
心の葛藤を分割することがコツです。
能力を分割しただけでは、ただ単に違うことができるというだけです。
違うことができるだけで、主人公と同じ考え方をしている人しかいなかったら、
それは、役割が違うロボットになってしまいます。
心の葛藤を分割してみてください。
ひとりのキャラクターの個性を複数に分けるメリット1
★個性が強調できる
ひとりのキャラクターを複数に分けるとなると、
必ず個性を大げさに表現する必要があるのです。
なぜなら、ひとりのキャラクターの前向きな心理、後ろ向きな心理、
冷静な心理、それらから一つか二つを選んで、
ひとりのキャラクターに押し込めなくてはなりません。
そうなると、必然的に個性が濃縮され、
「このキャラクターはこういうやつなんだな」というのが理解しやすいのです。
個性というのは、強いものが一つあればいいのです。
あれもこれもと詰め込んでいては、個性がないのと同じです。
ひとりのキャラクターの個性を複数に分ける事は、
個性の強調に繋がるのです。
一人のキャラクターの個性を複数のキャラクターに分けるメリット2
キャラクターひとりの心の中で葛藤していると、根暗な印象を与えます。
主人公が心の中で
(魔王を倒さなければ、世界は終わりだ。でも、なんで俺がやらなきゃダメなんだ。
王様も何故か、その辺で拾ってきたような棒と、
ポケットにたまたま入っていた50円をくれただけだし。俺は絶対に期待されてない!
ああ、でも、姫可愛かったなぁ……助けた〜い)
と葛藤していたとすると、ちょっとキモいですね。
このように、主人公の心の葛藤を、複数のキャラで表現することにより、
人間関係が発生します。
それにより、会話が生まれ、物語が楽しくなるのです。
ひとりのキャラクターの個性を複数のキャラに分けるメリット3
★人の弱い部分、強い部分、変態的な部分を、利用しやすい。
ひとりのキャラクターの葛藤を複数に分けているわけですから、
強い部分、弱い部分、変態的な部分を、
それぞれ複数のキャラクターに振り分けることができます。
すると、目的にまっすぐ突っ走れるキャラクター
逃げ出すキャラクター、味方を裏切るキャラクター、
異常な行動をするキャラクター。
人として、美しい行動、悲しい行動、醜い行動、
それらを思い描くことが、簡単になります。
人間の心のあらゆる面を、複数のキャラクターで表現できるのです。
これらの方法は
「キャラクター自体が、作者自身の分身である」
という考えを元にしたものです。
それを、わかりやすく、実行しやすいように改変しました。
結局は「作者のあなた自身の心」をキャラクターに投影しやすくした方法です。
「日々、生活する上での、自身の心の葛藤」や
「もし自分がキャラクター達と同じ境遇になったら、どう考える?」
をしっかり分析し、それをキャラクター達に投影する。
それができれば、キャラクター作りは、ぐんぐん上達します。