伏線の作り方


 

伏線の“伏”には、『かくれる、ひそむ、隠す』という意味があります。

 

あるエピソードに隠れた意味を持たせ、それを利用し、

問題を解決したり、危機をのりきったりするのが伏線回収なのです。

 

 

例えば、これは伏線回収になりません。

 

「主人公が敵を倒すために、武器を開発した」

「開発した武器で、敵を倒した」

 

そのまんまです。

 

 

伏線というものは、あるエピソードに、隠れた意味があることを言います。

 

(例)

「主人公が、バッティングセンターに頼まれて、ピッチングロボを開発した」

「なんやかんやあって、敵と戦う羽目になった。

その時、偶然そばにあった、ピッチングロボを使って、敵を倒した」

 

 

例の場合、読者に対して、

「主人公は、バッティングセンターのために、ピッチングロボを作った」

という、エピソードが用意されます。

 

この時、読者は、エピソードに対して、

「主人公はそういう仕事をしている人なんだ」とか

「バッティングセンターに納品する機械を作れる人なんだ」とか

「バッティングセンターのために機械を作ってるんだな」とそのまんまな

感想を持ちます。

 

ですが、

「バッティングセンターに納品する予定の機械で、敵を倒した」ことにより、

 

「投球する機械を作るエピソードは、敵を倒すためにあったのか!」

と読者は思います。

 

「投球する機械を開発する」というエピソードに

「敵を倒すための装置を開発する」という“隠れた”意味があったのです。

 

伏線とは『エピソードに隠れた意味を持たせる』という事なのです。

 

 

 

伏線の作り方、回収の仕方3種類。

 

 

 

  • 伏線を後から探す

 

ある程度ストーリーを進め、物語が佳境に入った時、

今までの展開から伏線を探すという方法です。

 

今までの主人公や他のキャラの行動や、アイテムから、

隠れた意味を探し出したり、作り出したりして、それを問題解決の糸口にするのです。

 

(例)

主人公の恋人は、銀行に勤めている。だから、主人公はいつも、

その銀行にお金を預けている。

 ↓

悪役が銀行強盗を計画していた。

そのターゲットは、主人公の恋人の銀行だった

 

 

主人公はチーズバーガーが大好きで、いつもマックのチーズバーガーを食っていた。

 ↓

悪役が、チーズバーガーに、遅効性の毒を入れていた。

 

 

悪役は必ず人質を取る悪いやつ

 ↓

人質になりすました味方が、悪役の隙をついて反撃。

 

 

昨日まで貧民だった友人が、宝くじを当て、車を買った。

 ↓

実は、裏で悪いことをして得た金だった。

 

 

魔王は、いつも部下を勇者に送ってくるが、自分は来ない

 ↓

魔王は実際はいない。勇者の自作自演だった。

 

 

例のように、これまでのエピソードの裏の意味を考えだし、

後から伏線を探す方法です。

 

 

これまでの展開から伏線を探すメリット

 

・作者自身も、伏線としてエピソードを作っていないため、

読者に気づかれることなく、伏線を盛り込める。

 

・物語を伏線に縛られず進められるため、自由度が増す

 

・物事を多角的に見る能力を鍛えられる

 

 

これまでの展開から伏線を考えるデメリット

 

・ストーリーが無理やりな印象を持たれる場合がある。

 

・しっかりキャラクターを作り、キャラクターを活かすエピソードを

入れていないと、伏線となるエピソード自体が存在しない。

 

・ストーリーを見直す手間がかかる

 


  • 物語の進み方をスムーズにするために、伏線を付け足す

 

物語を作っている最中に、

 

『どうしても登場させたいキャラ』

『活躍させたいキャラやアイテム』

『語っておきたいエピソード』

『こういう展開に進んだ方が、面白いのではないか』

 

というアイデアが出てきて、いきなり物語に組み込みたくなることがあります。

 

ただ、そのまま物語に組み込むと、突然すぎて不自然だったり、

矛盾が発生することがあります。

 

そのような場合に

「キャラやアイテム、エピソード」が登場するより過去に戻り、

伏線を付け足す方法です。

 

(例)

なんの前置きもなく、主人公を助けてくれる仲間が現れる。

 ↓

もっと序盤に、主人公と親しく話す仲間がいるというエピソードを付け足したり、

その仲間が、主人公を助けられるほどの実力がある事を、読者にアピールしておく。

 

 

なんの前置きもなく、ひみつ道具で主人公がたすけられる。

 ↓

序盤に、ひみつ道具を使っているエピソードを入れておく。

(その時は、取るに足らないものだと思えたり、役に立たなさそうな印象を持たせると効果的です)

 

『敵を倒すときに、ライターでガソリンに火をつける描写がほしい』

 ↓

『主人公がタバコを吸う描写を入れる』

 ↑

『いざって時にガソリンに火をつける道具を持っているという伏線になる』

 

 

『崖から落ちそうになったとき、運良く助かる描写がほしい』

 ↓

『仲間に丈夫な時計をもらう描写を入れる』

 ↑

『その時計が崖に引っかかり、主人公は崖から落ちずに済むという伏線になる』

 

 

 

なんの前置きもなく、異性に愛されるシーンを入れてしまった場合、

主人公が異性に愛される条件やきっかけを作っておく必要があります。

 

『異性に愛されるシーンを描きたい』

 ↓

『異性が序盤で「こういう人が好き」的な事を言っている』描写を入れる

 ↓

『主人公が最終的に、異性の好きなタイプに成長する』事により、

自然に、異性に愛されるシーンとなります。

 

 

後から伏線を付け足すメリット

 

・すでにある場面に対応する伏線を作るので、無駄が少ない。

 

・簡単に伏線を作れる

 

・「後から伏線を付け足せば良いや」と考え、自由な発想で物語が作れる。

その為、自分が好きな展開に持って行きやすい。

 

・伏線だということがバレやすく、読者が今後の展開を予想しやすい。

 

 

後から伏線を付け足すデメリット

 

・付け足した後、物語に矛盾や、余計な展開が発生する場合がある。

それらを自然にするために、さらに場面を付け足したり、

削ったりする必要が出てくる可能性がある。

 

・いくらでも作れるため、作品が肥大化しやすい。

 

・作品を最初から見直し、手直しする必要がある。

 

・伏線がわざとらしくなって、読者が今後の展開を予想しやすい。

 

 

 

  • 物語が成長する可能性を信じ、伏線を入れる

 

「ある程度、ストーリーが予想できている」

「こういう展開になってほしい」

「もっと面白くできるのではないかと思っている」

 

そんなときにできる伏線の入れ方です。

 

「先の展開を予想し、伏線を貼る方法は、

ストーリーやプロットを練りこんでいないとできない」と思うかもしれません。

 

しかし「こういう展開になってほしいなぁ」という希望も込めて、

伏線を張ることもできます。

 

 

「このキャラクターは、最後に味方を裏切るから、

少しスレているようにしよう」

 

「主人公は最後に変身するから、その片鱗を見せておこう」

 

というように、物語の先を予測し、伏線を入れる場合もありますが……

 

(例)

「今後の展開で、このキャラクターが裏切ったら面白いかも。

だから、少し裏切りそうな描写を入れておこう」

 

「主人公を最後に変身させたら面白いかも。

変身しそうな描写入れておこうかな?」

 

例のように、

伏線を使うか使わないかは、物語の展開に任せて、

使えそうだったら使う。使えなさそうだったら使わない。

 

というように、とりあえず、伏線になりそうなエピソードを入れる方法です。

 

伏線は、あくまでも隠れた意味ですので

『伏線を使わなければ、伏線じゃなかった』と理解されるだけです。

 

無駄な描写が増えまくりますが、長編を作りたければ、かなり使える手です。

 

(無駄な描写が増えると言いましたが、キャラクターを深めるための

描写であったり、面白い場面であれば、無駄にはなりません)

 

 

『物語が成長する可能性を信じ、伏線を入れる』のメリット

 

・物語が予定より良くなる可能性がある。

 

・キャラクターを深める描写を入れられる。

 

・書いてて、自分でも先が読めないため、ワクワクしながら作れる。

 

・「この伏線を使おう」と物語の目標が作れる

 

・アドリブ力がつく

 

・続編のネタにもなる

 

・物語を長くしたいときに使える。

 

・意外な展開が作りやすい。

 

 

『物語が成長する可能性を信じ、伏線を入れる』のデメリット

 

・あまりに多く伏線を入れすぎると、管理が大変。

 

・読者に、伏線だとバレるようなシーンばかりを入れていると、

回収しなかったとき、「伏線未回収」の判定が下される。

 

・「あれもしたい、これもしたい」とやりたいことが増えすぎる。

 

・いわゆる「風呂敷を広げすぎて、たたむのが大変な状況」に陥りやすい。

 

・短編には向かない。

 

 

 

伏線のつくり方は、案外簡単だということがわかったと思います。

 

難しく考える必要はありません。

何事も単純に考え、実行するときに努力すればいいだけなのです。