心に残るテーマを作り出す方法


 

テーマとは、読者が作品から受け取るものです。

 

作品を読んだことにより、読者の行動や、感情、心境、考え方が変わったり、人生まで左右することがあります。

 

テーマとは、作品が何を伝えたいか、作品の存在価値、

作品の存在理由でもあるのです。

 

だからと言って、必ず教訓がなければダメだとか、バッドエンドで、

読者を不幸にしてはダメだとか、そういう制限はありません。

 

ただ単に暇つぶしのためのギャグだって、人を笑わせることによって、

ストレスを緩和させるという存在価値があります。

 

 

要は物語に「伝えられるものがある」ということが肝心なのです。

 

 

作品を読んで、読者が何も感じなかったら、その作品は何の価値もありません。

 

笑いもしない、感心もしない、泣きもしない、怒りもしない、喜びもしない、変化を促さない、それでは、なんのために作品を読むかがわかりません。

 

 

では、どうすれば、テーマを読者に伝えることができるのでしょうか?

 

どうすれば、心に残るテーマを作り出すことができるのでしょうか?


  • 主人公に、自分の人生を全力で生きさせる

テーマを決めてから物語を書くと、説教くさくなりがちです。

 

テーマに縛られて、主人公の行動や、

セリフが説教くさくなってしまうことはよくあります。

この場合、テーマなど決めず、

あなたが書きたいことを全力で書いた方がいいです。

 

ドキュメントなどを見ているとわかりますが、実在する人物は、

自分の人生のテーマなど知らずに生きています。

しかし、実在の人物が必死に生きる姿を見て、我々は感動し、

何かしらの教訓を得たり、行動を変えたりします。

 

物語も同じで、キャラクターたちは、

自分が伝えるべきテーマなどわかっていない方が、

人生を全力で生きられるのです。

 

そして、物語を終え、結果的にテーマが生まれるのです。

 

私としては、この

「テーマを考えずに物語を作り、キャラクターに人生を全力で生きてもらう。そして、結果的にテーマが生まれる」

という方法をお勧めします。

 

しかし、

「テーマを先に作りたい」

「テーマから物語を作るほうほうも知っておきたい」

という方のために、テーマから物語を作る方法も書いていきたいと思います。

 


  • テーマは、感情から生まれる

 

人に何かを伝える時、ただ単に事実を伝えるだけでは、心に残りにくいです。

 

「食品添加物は体にわるいよ。控えめにしようよ」と言われるより

 

「食品添加物の入った〇〇を食べたらさあ、下痢がとまらなくなってさ。

もう、死ぬかと思ったよ。やっぱ食品添加物って体にわるいんだなぁ。

俺もう、食品添加物はこりごりだよ」と言われた方が、

「食品添加物は控えめにしよう」という意識が生まれます。

 

これは、食品添加物を摂取した人が、

「下痢が止まらなくなった」「死ぬかと思うほどの嫌な思い」

という物語、それに付随する感情があるからこそ、人の心に残りやすいのです。

 

 

テーマは感情によって伝えられ、感情は物語によって生まれるのです。

 

  • テーマを作り出す方法

 

テーマは、感情によって伝えられます。

 

つまり、感情を元にテーマを作り出すことが、

心に残るテーマの作り方なのです。

 

 

紙とペンを用意してください。

 

 

あなたが感情を動かした事を書いてください。

 

楽しかった事、悲しかった事、感動した事、感心した事、

なんでもいいので、書いてください。

 

(例)

ニュースの報道。動物園でアライグマが生まれた。可愛い

職場の上司が理不尽でムカつく。

インドでマフィアが警察にワイロを渡して好き放題暴れている。ムカつく。

 

 

次に、どうしたら、読者にその感情を伝えられるかを書いてください。

全く同じ状況では芸がないので、

あなたの作風にあった状況を設定するのがコツです。

 

(例)

ニュースの報道。動物園でアライグマが生まれた。「可愛い」という感情を伝えたい。

 

動物園の職員を主人公にして、アライグマ誕生をノンフィクションで描く。

 

母アライグマを主人公にして、アライグマの家族愛を描く

 

飼っている犬が、子供を産む。

 

 

職場の上司が理不尽でムカつく。「理不尽なことは許せない」という感情を伝えたい。

 

異世界に転生して、神になんの能力ももらえなかった主人公をかく

(神の不手際が原因なのに理不尽)。

 

教師に無視されるいじめられっ子を描く

 

政府にいじめられる国民を描く。

 

 

マフィアが警察にワイロを渡して、好き放題暴れている。

「金の力で罰を逃れるやつが許せない」という感情を伝えたい。

 

日本でもヤクザが警察に賄賂を渡しているという設定でいく。

 

金持ちの子供が犯罪をしても、金の力で無罪放免

 

主人公は、青い猫型ロボットの力で、何をしても許される。

 

 

 

では、次に先ほど書いた状況から、過程は考えず、

理想の結果に持って行ってください。

 

(例)

ニュースの報道。動物園でアライグマが生まれた。可愛い。

 

動物園の職員を主人公にして、アライグマ誕生をノンフィクションで描く。

ノンフィクションの場合は、一番感動的なところで終わらせる方がいいので、

 アライグマの出産が成功したところで物語終了。

 

母アライグマを主人公にして、アライグマの家族愛を描く

子供が危機に陥った時、母が身を呈して助ける、など。

 

飼っている犬が、子供を産む。

色々困難があったけど、最終的に健康的に育ってめでたしめでたし。

 

職場の上司が理不尽でムカつく。

異世界に転生して、神になんの能力ももらえなかった主人公

(神の不手際が原因なのに)。

努力して、神をも超える力を手に入れ、自分が神になる。

 

教師に無視されるいじめられっ子。→いじめの証拠を集め、いじめっ子と、教師を断罪。

 

政府にいじめられる国民。→主人公が革命を起こす。そして、民衆は解放される。

 

 

マフィアが警察にワイロを渡して、好き放題暴れている。ムカつく。

 

日本でもヤクザが警察に賄賂を渡しているという設定でいく。

主人公が汚職を暴き、悪い奴はみんな逮捕。

 

金持ちの子供が犯罪をしても、金の力で無罪放免。

主人公の頭脳で金持ちの悪行を暴き、全ての罪を償わせる。

 

主人公は、青い猫型ロボットの力で、何をしても許される。

しっぺ返しを食らう。

 

これを書くと、あなたの感情を元とする物語が出来上がるのがわかります。

この物語を完成させれば、「アライグマは可愛い」「理不尽な上司はだめ」「ワイロは許されない」とか、あなたの感情を元にしたテーマを伝えることができます。

 

しかし、これはあくまで、単純なテーマの出し方です。

 

もっと深いテーマを作りたい方は読み進めてください。

 


  • テーマを深める方法。

 

テーマが「アライグマは可愛い」だとしたら、

その「可愛い」という感情を持ったキャラクターはどう行動しますか?

それを書いてみましょう。

 

「アライグマは可愛い」という感情を持ったキャラの行動

 

・アライグマの生態を調べ、それに適した環境を用意する。

 借金してでも用意する。

 

・寝食も忘れ、つきっきりになる。

 

・アライグマが病気になったら、寝てても飛び起きて、

 医者を呼ぶか連れてくるかする。

 

・アライグマの写真を見て、ニヤニヤしている。

 

・恋人を作ることもせず、アライグマばかり見ている。

 

・アライグマが死にそうになったら、自分が死にそうになる程、泣く。

 

・アライグマを馬鹿にする人がいたら、許せない。

 

・アライグマの飼育をする事に反対されても、突っぱねる。

 

 

ここで重要なのは、「アライグマが可愛い」という

 

主人公の感情を伝えることを第一にすることです。

 

 

「アライグマを可愛がる主人公は、真実の愛を体現している」

というような、たいそうなテーマを伝えようとしてはいけません

 

なぜかというと、テーマは、深くなればなるほど、

作者と読者の「無意識」に委ねられるからです。

 

「真実の愛」を伝えようとせず、

「真実の愛に到達しそうな行動」を描くのです。

 

「これは真実の愛だ」と言葉でいうと、陳腐に聞こえます。

 

しかし「母親が見返りを求めず、子供を守る」という状況を描くと、

読者の心に「真実の愛ってこんな感じなのかな」と

無意識に思わせることができます。

 

 

本当に深いテーマは、読者の心の奥にしかないのです。

 

 

物語によって、読者の無意識の中にある感情を呼び起こす。

 

それが、本当のテーマになるのです。

 

 

つまりは、深いテーマというのは、

受け手の中にある感情を呼び起こすものであって、

新しい感情や知識を植え付けるものではないのです。

 

単純なテーマなら、いくらでも読者に伝えられますが、

深いテーマになると、読者の深層心理に委ねられてしまうのです。

 


  • 人間が深く感動するときは、自分の中にある感情を表現してもらった時に感動する。

 

人間は結局、自分が理解できないもの、知らないことには、全く感動しません。

 

人生経験を経て、あらゆる知識、経験、感情を理解できるようになって、

初めて人は物語に感動できるようになります。

 

人間を大事に思わない人は、人間を大事にする主人公を見ても、

理解できないのです。

 

テーマも同じです。テーマも、あなたが伝えたい事だけなら、伝わります。

 

しかし、伝わって、行動を変えたり、感動したり、

教訓を得たりするかは、読者の心しだいなのです。

 

それは、物語だけでは伝わりません。

 

キャラクターが人生を全力で生きる事で初めて伝わるのです。

 

テーマを伝えたければ、キャラクター本物の人生を生きさせてください。